ポケモンスリープと筑波大学による調査結果
株式会社ポケモンが推進する睡眠ゲーム『Pokémon Sleep』と筑波大学が実施した大規模な睡眠研究によって、国民の睡眠状態と労働生産性の関係が新たに明らかになりました。約8万人の日本のユーザーを対象に行われたこの調査は、単なる睡眠の量や質だけでなく、睡眠リズムの重要性を浮き彫りにしました。
調査内容と結果
今回の研究は、睡眠と労働生産性の関連を明らかにする目的で実施され、ユーザーの睡眠パターンを分析。調査によると、ユーザーは「健康的な睡眠」「長時間睡眠」「中途覚醒が多い」「寝付きが悪く中途覚醒も多い」「ソーシャルジェットラグ」といった5つの特徴的なグループに分類されました。
特に、「ソーシャルジェットラグ」グループは労働生産性が低下し、個々の年間経済損失は約13.6万円に達する可能性があることが示されました。ソーシャルジェットラグとは、平日と休日の睡眠時間や起床時間のズレによる影響を受けた状態を指し、これが働き手のパフォーマンスに悪影響を与えています。これを踏まえると、日本全体の経済損失は年間約1兆円に及ぶとされています。
睡眠パターンの影響
調査では、プレゼンティーズムスコアを用いて、労働生産性の低下を測定しました。睡眠パターンに基づく労働生産性は、「健康的な睡眠」グループと比較して、「ソーシャルジェットラグ」群が最も低く、次いで「寝付きが悪く中途覚醒が多い」群が続きました。このことは、これらのグループの睡眠の規則性が生産性に与える影響の深刻さを示しています。
また、質問票調査による不眠の訴えや日中の眠気評価も行われ、ソーシャルジェットラグ群は特に悪化した結果となりました。このことから、睡眠の質や量に加えて、睡眠リズムの重要性が強調されています。
規則正しい睡眠の重要性
睡眠学者である柳沢正史教授は、研究結果を考察し、リズミカルな睡眠が高い業務パフォーマンスを保つために必要不可欠であると説明します。規則正しい睡眠を維持するためには、平日から十分な睡眠をとることや、休日の前の晩に早く寝ることが有効であると指摘しています。このように、睡眠リズムを整えることで、日常の充実度が向上するとしています。
利用の拡がりと今後の展開
『Pokémon Sleep』は、スマートフォンアプリとして手軽に利用でき、ユーザーが睡眠状態を視覚化しながら健康管理を行えるツールとして、市場においても注目を集めています。また、2周年を迎えるこのゲームでは、イベント「2周年記念フェスティバル」が開催され、新機能なども発表されています。これにより、ユーザーは楽しみながら健康を意識する機会が増え、ゲームを通じて睡眠リズムを整えることができるでしょう。
結論
『Pokémon Sleep』と筑波大学の共同調査は、睡眠の質と労働生産性の相関関係を示し、特にリズムを重視した健康管理の重要性を再確認させるものとなりました。今後も、睡眠をテーマにした取り組みや研究が進むことが期待されます。また、ゲームを介して自身の健康に目を向ける機会がますます重要視される時代に、この調査は新たな知見を提供するものとなりました。