岡山大学と日本電子専門学校が手がけるVRリハビリ
2025年9月7日、国立大学法人岡山大学と日本電子専門学校の共同研究により、VR(仮想現実)を活用した新しいリハビリテーションプログラムが発表されました。これは、小児がん患者が抱えるリハビリにおける心身の苦痛を軽減し、楽しみながら続けられることを目指したものです。
新たなリハビリのアプローチ
小児がんの患者は、長期間にわたる治療や入院生活が影響し、筋力低下や精神的な不安を抱えることが少なくありません。従来のリハビリテーションは苦痛を伴いがちで、特に子どもたちはやる気を失いがちでした。そこで、この新しいVRプログラムでは、ゲームの要素を取り入れ、“つらい”リハビリを“楽しい”体験に変える試みが行われています。
新開発のVRコンテンツには、二つの主要な要素があります。まず一つ目は、腕を上げる動作で魔法を放つ「魔法使いコンテンツ」。この内容は、子どもたちに楽しい感覚を与えることを目的としています。二つ目は、「自転車コンテンツ」で、実際の自転車エルゴメーターと連動して仮想空間を走ることができるよう設計されています。これにより、運動を単調な作業からゲーム感覚で楽しむことができるのです。
個別最適化された負荷設定
また、プログラムの特長として、個々の患者の身体状況に応じて運動の負荷や感度を細かく調整できる点が挙げられます。この点が、リハビリの安全性と効果を高める要因となっており、患者一人ひとりに合ったリハビリが可能です。従来の方法では味わえない楽しみを加えることで、子どもたち自身の意欲を引き出し、リハビリへの取り組みを促進します。
東京ゲームショウでの発表予定
このプロジェクトの成果は、2025年9月25日から28日まで千葉県の幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2025」で公開される予定です。特に、新設される「オールアクセシビリティーコーナー」では、障害の有無にかかわらず誰もが楽しめるゲームが紹介され、注目されることでしょう。
研究チームの思い
岡山大学の長谷井嬢教授は、このVRリハビリ開発について次のように述べています。「小児がんの子どもたちは、治療によって心身に大きな負担を強いられています。このVRプログラムが、子どもたちの笑顔を取り戻し、楽しい挑戦を通じてリハビリを支援することを願っています」と、その期待を語りました。
長谷井教授の言葉には、医療とエンターテインメントの融合による新しい治療の可能性に対する情熱が込められています。このプロジェクトが成功すれば、他の疾患の患者に向けたリハビリテーションへの応用が期待でき、より多くの人に新たな希望を与えることができるかもしれません。
まとめ
これまでのリハビリでは苦痛を伴っていた部分に、VR技術という革新的なアプローチを合わせることで、楽しみながら病気と向き合える可能性が広がります。SR(セカンドリアリティー)やAR(拡張現実)の進化も含め、今後の医療業界におけるテクノロジーの貢献がますます期待されます。今後の動向が非常に楽しみです。