Molocoが示すモバイルゲーム市場の未来展望
カリフォルニア州レッドウッドシティに本社を構えるMolocoは、先日「2025年 モバイルゲーム市場の現状~主要アプリにおけるアプリ内課金のトレンド」という調査レポートを発表しました。このレポートには、同社の顧客であるゲーム広告主のトップ100社の動向を分析した結果が含まれており、モバイルゲーム業界が新たな成長期に入っていることが浮き彫りになっています。
市場の成長と新たなアプローチ
調査報告によると、モバイルゲーム市場は急激な拡大と調整を経て再び成長を遂げています。そして、この成長を支えるのは、短期的な成果を追い求めるのではなく、ユーザーの生涯価値(LTV)を重視した持続可能な戦略に移行する企業の存在です。
Molocoのシニアインサイトマネージャー、トム・シャドボルト氏は、「主要なゲーム広告主が急速に変化する市場環境に適応している」と述べ、ゲーム内プロモーションやライブイベントがユーザーエンゲージメントの中心にあることを強調しました。
質の高いユーザー獲得への注力
近年の調査結果から、米国のiOSユーザーが日本のゲームパブリッシャーにとって最も重要な存在であることが浮き彫りになりました。米国のモバイルゲーマーは、上位100社のゲームパブリッシャー全体で世界の収益の47%を占めており、そのうちiOSユーザーが約29%を生み出しています(2023年比11%増)。
また、Tier 1市場(韓国、日本、台湾、フランス、英国、オーストラリア、カナダ)は世界収益の31%を占めていますが、成長の鈍化が見られるため、新たな成長機会を求めてグローバル展開の重要性が増しています。
新興市場の成長期待
一方で、新興市場(インド、ブラジル、メキシコ、インドネシア)やその他の地域ではiOSユーザーの成長が顕著であり、前年比で新興市場が31%、その他の地域で24%の増加を記録しています。主要広告主は、ユーザー層に合わせた体験設計や長期的なマネタイズへと軸足を移しています。
カジュアルゲームの収益成長
カジュアルゲームのアプリ内課金(IAP)は、前年比6%増加とともに収益成長を牽引しており、戦略ゲームアプリもカジュアルな体験へとシフトしています。逆にRPGジャンルでは、グローバルでの収益やインストール数が減少していますが、これは日本のゲームパブリッシャーに新たな機会を提供しています。
MobilityWareのユーザー獲得ディレクター、コルヴィン・アンプリーブ氏は、業界全体が長期的なユーザー関係の重要性を認識し始めていると述べ、Molocoのインサイトがエンゲージメントと市場拡大の鍵であると再確認しました。
結論と今後の展望
Molocoの調査は、モバイルゲーム広告主が市場変化にどう対応し、持続可能な成長を目指すべきかを示しています。市場の将来は明るく、新たなユーザー獲得の機会が広がっています。その結果、2025年にはモバイルゲーム市場の収益が1260億米ドルを超え、2029年にはモバイルゲーマーが24億人に達すると予測されています。
これらのトレンドを踏まえ、ゲーム業界や広告主は市場の動向に敏感になり、ユーザーエンゲージメントを深める施策を強化していく必要があります。詳細な調査レポートは、
こちらから確認できます。