Epics DAOがSolana開発環境の現状を報告し、前進を図る

Epics DAOの最新動向とは

Epics DAOは、オランダ・アムステルダムで運営されるプロジェクトで、現在対戦型NFTトレーディングカードゲームを中心に活動し、その開発支援を行っています。この度、Epics DAOはホワイトペーパーを更新しました。この更新では、Solanaプラットフォームの開発環境についての最新レポートを発表し、今後の方針を示しました。特に、Solanaの開発基盤の整備を最優先することが強調されています。

Solana開発の現状

現在、Solanaネットワークはv3アップグレードを終え、次の高速化アップデートである「Alpenglow」の実装を控えています。この新たな時代において、dAppやWeb3アプリの開発には、既存の開発ライブラリである@solana/web3.jsから新しい@solana/kitへの移行が急務です。

従来の@solana/web3.jsは、週に約87万回のダウンロードを誇っていますが、現在は開発が停止しています。一方、新たに注目されている@solana/kitは、v5.0.0が最近公開され、活発に開発が行われています。しかし、週のダウンロード数は約3万にとどまっており、その普及には時間がかかる見込みです。

Solana Kitは、今年の2月以降、Alpenglow対応のための最適化が行われ、通信効率や署名処理、メモリ管理などの面で大きな進化を遂げています。しかしながら、実際の開発事例が少なく、周辺の対応が不足しているため、実質的な移行が進みにくいという現状があります。特に、Wallet Adapterの後継ツールが未だ存在しておらず、関連プロジェクトも発展途上であるため、dApp構築において多くの手作業が求められるのが現状です。このため、未だ多くのプロジェクトがWeb3.jsを使用し続けています。

Epics DAOの取り組み

Epics DAOは、これらの課題解決に向けて、Solana Kitを中心とした開発環境の整備や情報の共有、事例の創出に本腰を入れて取り組んでいます。実際、彼らは自社のNFTカードゲーム開発において、トランザクションエラーや不安定なRPC回線といった課題を乗り越えるために、独自に開発したバリデータ運用・RPC管理ツール「solv」を公開しました。この成果は、その後、Validators DAO、SLV、ERPCという形で進化を遂げています。これらの取り組みによって、Solanaエコシステム内の技術的な負債を減少させ、開発基盤を標準化しつつあります。

Solana Foundationの新しい展開

また、Solana Foundationも同様の課題認識を共有しており、最近新たな開発者向けポータルサイト「Launch」を開設しました。このサイト上では、次世代のSolana dApp開発を支えるツール群、具体的にはKora、CommerceKit、Attestationsが発表されています。特にKoraは、Epicsゲームプラットフォーム内でのトランザクション手数料を$EPCTのみで処理できる技術であり、ユーザー体験を向上させる可能性を秘めています。

未来に向けた展望

Epics DAOは、プラットフォームのベータ版リリースを一時的に延期し、まずはSolana Kitやウォレット接続周辺のオープンソース開発に集中することを決定しました。Validators DAOやERPCとの連携を強化し、Solana dApp開発に必要なSDKやウォレット連携、ネットワーク基盤の強化を進めることで、開発者がより安全かつ迅速にアプリケーションを構築できる環境を提供することを目指しています。

今後、これらの研究成果やツールは順次オープンソースとして公開し、Solana開発コミュニティ全体の発展に寄与することが期待されています。Epics DAOは、公共財としてのオープンソース開発を推進し、持続可能な開発支援モデルを実現することを目指し続けます。