コロプラが示すAIの進化:業務への浸透と新たな体験の創出
株式会社コロプラは、「新しい体験」を提供するために技術革新に努めており、特にAI活用に注力しています。AI技術の導入は世界的に進んでいますが、日本国内の企業ではその導入が遅れている現状があります。例えば、総務省の調査によれば、生成AIを導入する企業の数は50%弱に留まる一方、アメリカや中国では導入率が80%を超えています。このような背景の中、コロプラは独自のAI浸透モデルを構築し、社内でのAI活用を効果的に進めています。
コロプラ式AI浸透モデル
コロプラでは、AIを業務に活用する過程で段階的なアプローチを取り、社員の意識改革を図っています。9月に行った社内アンケートによると、社員の92%が業務にAIを取り入れており、その中でも半数以上がほぼ毎日利用しているとのことです。特に、活用者の30%は業務量が50%減少したと感じており、AIの導入が実際に業務効率化に寄与していることが明らかになりました。
5段階の成熟度モデル
同社では、AIの成熟度を「認識」「探索」「運用」「体系化」「変革」の5段階に分類しています。多くの場合、企業はレベル2の探索までは進むものの、業務においてAIを本格的に運用するレベル3に到達するのが難しいとされています。この壁を乗り越えなければ、企業のAI活用は深まらず、次なるステップへ進むことができません。
AI導入の4ステップと心理的アプローチ
さらに、コロプラではAIの導入を進めるために4つのステップを設けています。主な障害は「心理的な抵抗」であるため、同社は社員の心理状態を評価するための6つの心理的浸透度モデルを構築しました。この仕組みにより、社員は自らのAIに対するスタンスを理解しやすくなり、より積極的な参与が促されています。
AIとゲーム体験の融合
コロプラは、AIを効率化ツールとしてだけでなく、「新しい体験」を生み出すための手段として位置付けています。ゲームタイトル『Brilliantcrypto』ではAIが自動生成した宝石の名前やストーリーでユーザー体験を向上。また、『神魔狩りのツクヨミ』では、独自のAI「AIカネコ」を用いてプレイヤーごとのオリジナルカードをリアルタイムで作成することに成功しました。こうした試みは、ゲームにおける新たな価値の創造を示しています。
日常への浸透
コロプラにおけるAIは、ただの補助道具ではなく、社員にとっての「共存の道具」となりつつあります。AIの存在が当たり前になることで、より多くの社員が自らの業務とAIの活用を結びつけて、新しい価値を生み出すことにもつながります。
結論
コロプラのAI浸透の成功は、単なる技術の導入に留まらず、社員全体がその価値を理解し、楽しんで利用することを促進しています。企業としてのAI活用の定着プロセスを他社と共有することで、業界全体の生産性向上にも貢献しようとしています。今後もコロプラはAIとクリエイターの力を組み合わせ、エンターテインメントを通じた新しい経験を提供し続けることでしょう。