2025年施行・スマホ新法がアプリ市場に与える影響と課題

スマホ新法施行に伴うアプリ市場の新たな局面

2025年12月18日、スマホ新法がついに施行され、アプリ市場全体に多大な影響を及ぼす新たなルールが登場しました。この法律は、特にアプリ外課金の解禁と関連しており、これまでプラットフォームに依存してきたビジネス構造に大きな変化をもたらすことが期待されています。

国際的なトレンドの影響

スマホ新法成立までの背景として、国際的な規制緩和の流れがありました。その起点は2020年の米国にさかのぼります。Epic Gamesが人気ゲーム「Fortnite」において、独自の決済システムを導入したことに対し、AppleとGoogleがアプリをストアから削除した事件が発端です。これにより、アプリ内課金に関する問題が国際的な議論に浮上しました。

2021年には、Appleの「反ステアリング条項」についても司法の介入があり、外部決済へのリンクやボタンの設置が一定程度認められることとなりました。この動きを受けて、2022年から2023年にかけて韓国や欧州各地で同様の規制緩和が進み、AppleやGoogleもローカル対応を見直すようになりました。日本においても、2024年にスマホ新法が成立する運びとなりました。

スマホ新法の主な内容

本法は、公正取引委員会を中心に、影響力のある事業者に対して競争を制限する行為の是正を求める法律です。特に、以下の規制が重要です。

1. データ不当利用の禁止（第5条）
指定事業者がアプリ事業者から取得したデータを不当に利用することは禁止されています。これはアプリ運営に対する中立性の確保を目的としています。

2. 不公平な取扱いの禁止（第6条）
アプリ事業者に対する不利な取扱いを禁じており、審査基準や提供条件において合理的な理由なしに不利益を与える行為は違法と見なされます。

3. 他のアプリストアの妨害禁止（第7条）
他のアプリストアの利用を妨害する行為や、特定のOSの機能の利用を制限する行為が禁止されています。これにより、より競争的な環境が促されます。

4. 外部決済システムの妨害禁止（第8条）
外部決済へのリンクや誘導を制限することを禁止しています。アプリ事業者にとっては、収益構造を大きく変えるルールです。

5. 検索結果での優遇の禁止（第9条）
検索結果において、自社サービスを不当に優遇する行為が禁止され、利用者の選択を尊重することが求められています。

法施行の意義

スマホ新法の施行により、アプリ市場の選択肢は広がりますが、一方で事業者はこれまでプラットフォーム任せだった決済や税務対応の責任を自ら負うことになります。この規制対応は、事業者に新たな負担をもたらす一方で、マーケットの競争を促進させる重要な役割を果たします。

また、EUのデジタル市場法（DMA）との差異も注目されます。DMAはより厳格な規制を施行し、全世界的な売上高を基準とした罰則が存在するため、国際的な事業展開を行う上では特に注意が必要です。

結論

スマホ新法の施行は、アプリ市場における新たな競争原理を形成しますが、事業者はそれに伴う規制への対応が求められます。これからの時代、アプリ事業者は自社のビジネスモデルや収益構造を見直し、新たな経営戦略を策定する必要があります。同時に、これを機に新たなビジネスチャンスを創出するきっかけとすべきでしょう。