高齢者福祉における新たな挑戦
世界的に見ても急速に進行する超高齢社会。日本でも高齢者の数が増加し続け、認知症の発症率も上がっています。この現状に対し、GLOE株式会社と株式会社ウェルモがタッグを組み、2025年の春から高齢者のためのデイサービスにゲームを取り入れた実証実験を開始することを発表しました。この取り組みは、単に遊びとしてのゲームではなく、高齢者の健康や社会的つながりを保つための新たな手段として注目されています。
超高齢社会の現状
日本はすでに超高齢社会に突入し、2024年には高齢者の占める割合が29.3%という過去最高となる見込みです。総務省の調査によると、毎日約130名が新たに認知症を発症しているとされています。こうした背景から、認知症の予防や高齢者の生活の質を向上させる取り組みは急務です。
フレイルとは?
認知症の進行を防ぐために重要なのが「フレイル」の概念です。フレイルとは、加齢によって生理的な予備能力が低下し、ストレスに対する回復力が減少する状態を指します。この状態に陥ると、身体的・精神的な機能が衰え、さらなる健康問題を引き起こす可能性があります。フレイル状態を予防するためには、直接的なアプローチだけでなく、社会的なつながりを培うことが重要です。
ゲームが持つ新たな可能性
ウェルモとGLOEは、現代の技術を活かした新しいアプローチとしてゲームを取り入れることに決めました。ゲームはエンターテインメント性だけでなく、認知機能や身体機能を刺激する可能性があります。特に、協力プレイや競争要素によって、利用者同士の社会的つながりを深める役割を果たすことが期待されています。さらに、インターネットを介して自宅にいながらゲームに参加することも可能となり、社会的孤立の解消にも寄与するでしょう。
実証実験の目的と展望
実証実験では、以下のような効果を評価します。
- - 認知機能や運動機能の変化
- - 利用者の行動変化やデイサービスへの参加意欲の向上
- - ゲーム導入によるスタッフの業務量の変化
- - 高齢者の身体的・精神的な変化をモニタリングする手法としてのゲームの有用性
この実証実験を通じて、高齢者を支えるデイサービスの負担を軽減し、持続可能なプログラムの開発にも取り組む予定です。
未来に向けて
今後、ウェルモとGLOEは高齢者が自発的に参加できる新たなゲームやレクリエーションを企画・開発していく考えです。外部専門機関とともに科学的根拠をもとにしたプログラムを全国の介護施設に展開し、高齢者が気軽にゲームを通じてコミュニティに参加できるような環境作りを目指します。
各社代表のコメント
ウェルモの鹿野代表は、「ゲームの持つ無限の可能性を活かし、高齢者が自ら社会に出て新しい友人を作る機会を提供したい」とコメント。GLOEの谷田代表も「ゲームがもたらす楽しみを通じて、高齢者の健康を支援できることに感謝している」と発表しています。このプロジェクトが成功することで、孤立のない社会、高齢者が活躍できる未来が実現することを期待しています。